2016年は、確かに大きなターニングポイントだった。
「恩はいらないよ」で、夜勤明けの二男とのやりとりが綴ってあった。
「こんなに好き勝手やらせてもらってるから、この調子でいくと、
家売るから、自分でアパート借りてね、と言うことあるかも。そん時はよろしく。」
と言ったら
「全然問題ないよ。」
と、笑う。
本当にそうなった。年末最後の引越便で仙台から東京へ。私たちより一足先に、一緒に住んでいた二男、三男は、軽やかにそれぞれのアパートに引っ越して行った。
その後、三男が転勤で昨年春に東京に引越し、この春、仙台に唯一残っていた二男が東京へ、そして、九州に住んでいた長男家族は仙台に7年ぶりに戻った。
独り身でも、自分の住む場所の変化は大きいけれど、長男は三人の子どもたちがいて、震災直後に生まれた娘は小学生。九州から仙台への引越し、転職は、震災後に九州に移住を決めた時より大きな決断だったと思う。そんな長男を夫は、
「あいつも自由だな」
と一言。確かに。「そうしよう」と思った時に、家族で生活の基盤を根こそぎ変えてしまう自由さ。いろんな案件があっても、「決めればそうなる」ということを彼もやっているなぁ。そして、家族がそれを支えてくれているところも、やっぱりうちの子なんだなぁ、なんて思った。若い頃の私たちより、もっと自由だ。
そして今回も、長男はいろいろな方のお力をいただいて今がある。彼の人に恵まれて生かされる質は健在だなと思った。彼のその質を、私は、人に迷惑ばかりかけてしまうと長所と見てあげられなかった。当時、母の友人が息子の通う幼稚園の副園長先生で、こんなことを言われた。
「親としては心配でしょうけれど、あの子の周りは自然と笑顔になる。周りを笑顔にできる子は、大丈夫。
そういう子は、なかなか居ないの。
親としては、それは心配でしょうけどね。」
と、笑った。
長男家族が仙台に引っ越してから、孫たちにも逢える機会が増えた。先月誕生日だった私に可愛いラッピングの花束や宮城のお米などプレゼントしてくれた。お嫁さんの細やかな気遣いが嬉しかった。何より、息子を支え、子どもたちを育てている姿は当時の自分と重なる。小さい子が三人もいるって、本当に大変だったんだなぁ、なんて。ゆっくり食事もままならないもの。でも、孫たちは元気いっぱい!
「ねー、ねー、今日はこどもの日なのに、まだ何も買ってもらってないよー」とおねだりする姿にほっこりとする。九州と東北と離れて住んでいたこともあり、孫たちとは、ほんの数回しか逢っていないのに、瞬時に懐く姿に癒される。私は警戒心がやたら強くて人見知りだったのに、孫たちは、人を信頼しているんだなぁ。その姿に、目一杯エネルギーをもらえた。
家族って、近すぎるからこそ難しいこともたくさんある。お互いの関係性もあるけれど、それぞれが、病気にもなるし、怪我もする、いろんなことをやらかしたりもするし(笑)、人間関係で傷ついたり、落ち込んだり、人生の壁にぶつかったりする。家族が増える分、自分のこと以上に心配も増えるわけだ。それでも、家族がいてくれることの安心感はどでかい。
転居、転職は、大きなライフサイクルチェンジ。引越しをした本人も、家族も、その影響を受け、変化と成長のチャンスがあるということだ。子どもたちの成長を感じられる今日この頃。長男は31歳、二男28歳、三男は25歳。私もまだまだチャレンジしていこう。