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「幸せになるのが怖い。」

ちょっと考えれば、みんなが幸せになりたいはずだと思うものですが、

イザ、その時がやってくると、見事なまでのスルーをキメてしまう。

 

「なぜこんなに幸せになるのが怖いのでしょうか。」

 

という質問というより独り言のようなつぶやきに反応した私。

まるで自分に言い聞かせるみたいに。

 

「幸せになってしまうと、その幸せの真逆にいる人々が見えてくる。

 美味しいものを食べて幸せを感じていると食べられない人々が。

 家族との幸せを感じていると孤独な人々が。

 愛し合う喜びを感じていると愛に飢えている人々が。

 

 どんなに自分が幸せになったとしても、彼らを救えない無力感を同時に感じます。

 幸せを感じれば感じるほど、感謝に震えれば震えるほど、

 自分の力のなさ、ちっぽけさを実感するんです。 

 世界のお金をコントロールできたとしても、今まさに死にゆく人を救えない絶望を感じるんです。

 どんなに祈っても、どんなに強くても、どんなにお金を持っていても、何もできない。

 その絶望感を感じたくないのかもしれません。

 だからこそ、幸せな人が増えて欲しいと願いますし、私もそうありたいと思います。

 絶望感を感じながらも、自分の微力さを受け容れながらも、

 それでも自分ができるほんの小さなことに命を燃やしたい。

 できないからといって、何も諦めない。

 命がある限り、ここでその何にもならないような、小さな小さなことをやり続ける。

 その覚悟をしたとき、人は、様々なことに幸せを感じられるようになるのかもしれません。

 バカなことだと思われても、何もならないかもしれない、それに命を燃やす自分が愛しく思えてならないから。

 そうやって生きられたら幸せですね。」

 

ある日のひとこまから。

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